不登校の問題は「親の責任」「親のせい」なのでしょうか?「私の教育が間違っていたから、あの子は不登校になったんだ。私が悪いんだ。」と自分を責めている保護者の方もいると思います。学校の先生の中にも「不登校は怠け者で、甘えて育っただけだ。」と考えている人も少なくありません。昨今の不登校に関するテレビ番組などでも、不登校は家庭教育が原因でないとする内容が主になっています。まだまだ不登校について誤解されている部分がとても多いと言えます。

実際、不登校の専門家でも不登校の問題が親の子育てと関係しているとしている先生もいれば、関係はないという先生もいます。私たちの研究では、家庭の子育てが直接不登校を引き起こしているという因果関係は見つけられませんでした。不登校には様々な家庭があり、特定の種類の家族や家庭環境の子供だけが突出しているわけではありません。日本のどの地域でも、ほとんど同じような比率で不登校の子がいます。親の教育そのものが影響を与えているとは考えにくいと言えます。

親の特徴と家庭環境

家庭環境として不登校が起きやすいと考えられているいくつかのケースをご紹介します。しかし、どの場合も不登校の直接原因だとは考えられません。

シングルペアレント(片親・シングルマザー・シングルファザー)

シングル家庭をきっかけとして不登校になる子もいます。児童心理学では、親にもっと大事にして欲しいという感情から、子供は問題行動を取る場合があります。しかし、そのケースでは通常2~3日で学校へ戻る可能性が高いです。シングル家庭だからと言って、負い目を感じる必要はないと不登校の専門家は言います。

離婚

両親の別居や離婚の話がきっかけで不登校になる子はいるのでしょうか?徐々に夫婦仲が離れていくケースでは、子供にも覚悟が出来るので影響は少ないです。一方で、夫婦喧嘩が家の中で行われているようなケースでは子供の心理状態に強く影響を与えます。不登校にまで発展する子は非常に少ないですが、喧嘩は子供の前ではしない方がいいのは当たり前のことです。

一人っ子
兄弟や姉妹がいない為、寂しくて一人っ子だと不登校になることはありません。

単身赴任

父親などが会社の仕事で単身赴任した事で、家庭の中でコミュニケーションが希薄になり、不登校になる事はあります。この場合、父親がしっかりと子供と定期的にコミュニケーションを持つ事で解決する事があります。

不登校は親の責任ではない理由

長年、不登校教育に携わっている先生たちの多くは、不登校は家庭の責任、親の責任ではないと言います。

家庭環境がどれだけ子供に影響するかについて話します。

私自身が何千人もの不登校の子たちを観察してきて、家庭環境に共通点はありませんでした。子供たち自身に共通点はありました。つまり、家庭と不登校の原因は別だという事です。そして、不登校の問題は世界中を見渡しても日本だけで顕著に起きている現象でもあります。日本の社会構造上の問題でもあるわけです。

一方、精神科医は世界中で起きている人間の行動原理をたくさん知っています。

日本という地域ではなく、アメリカでも、インドでも日本でも共通して起きている人間心理の現象について研究しています。その中の一つに、「子供の役割分担」という機能があると話しています。

例えば、夫婦がよく喧嘩をしている家庭では、子供が悪い事をして、親の注意を惹く。そして、自分自身が問題と元になることで、喧嘩を止め、両親を協力させるという現象があるというのです。家庭が安全地帯でないので、子供が役割を演じて安全地帯を作り上げる。

・ヒーロー型
・スケープゴート型
・ロストワン型
・プラケーター型
・クラン型
・イネイブラー型

・・・

これらのそれぞれの役割を演じるらしいのです。

最初の3つだけ紹介します。ヒーロー型は勉強とかを必死にやって良い子を演じます。それで両親の冷たい関係が一時的に良くなったりするみたいです。スケープゴート型は、逆に悪い事をする事で、両親の気をひいて、両親を協力させる。不良行為や不登校などがあてはまるのでしょう。ロストワン型は「いない子」と言われ、心を閉ざし、ふっとどこかへ行ってしまうのです。

こうやって、両親の不仲、家庭機能の損傷を子供自らが修復させようとしているというのです。

このように、家庭内のいざこざを修復させるために不登校を選択した可能性があるかもしれません。あくまでも可能性ですから、基本は感性の変化だと私は考えています。しかし、あまりにも家庭内の環境が悪いなら、こういう可能性も考慮しなけばいけません。

不登校に子供がなると、祖父母の家に子供を住まわせたり、転校する為に母子だけ引越ししたりするケースがあります。私の経験では上手くいった話を聞いた事がほとんどありません。
なぜなら、それと不登校問題の本質は別だからです。母子が共依存関係になって、離れない、親子の自立が阻害される可能性もあります。なので、しっかり依存しないように自立させながら子育てをおこなってください。

しかし、これらもすべて不登校後の話であって、不登校そのものの原因とは関係ありません。私が30年間で数万人の不登校家族を調査して、不登校家族に共通点はありませんでした。つまり、不登校は親の責任とは言えないのです。最初は私も親の教育も疑いました。でも、関係が無い事が分かりました。

なので、しっかりと真の不登校の原因を学んでください。

引用先:http://futokou.blog106.fc2.com/blog-entry-1174.html