登校拒否と不登校の違いはあるのでしょうか?文部科学省の定義では、「不登校とは経済的、病気などの理由を除き年間30日以上欠席した生徒」としています。1980年代に登校拒否が盛んに言われ始めて、その頃も登校拒否=怠け者だと言われていました。

それが1990年代に入り、登校拒否児が急激に増加して、「不登校」という用語が作られたのです。ですから、登校拒否=不登校と言っても構いません。看護婦が看護師と言葉が変化したものと似ているかもしれません。

登校拒否の原因について

登校拒否の原因については様々な考え方があります。しかし、登校拒否の間違った初期対応の多くが、登校拒否を長引かせる結果となっているのは、専門家の多くが指摘しています。原因に沿った対応によって、登校拒否は改善していきます。原因がわからないまま対応して行くと、偶然、子供が学校へ戻ったとしても、再び登校拒否になってしまいます。登校拒否の大きな問題のもう1つが、学校へ戻っても何度も登校拒否を繰り返してしまうことです。この事についても専門家の先生たちは原因を解決しないまま、子供自身も親も学校も無理して学校へ戻る事で繰り返されると指摘しています。

原因は、大きくは3つに分かれます。①子供本人が原因②家庭が原因③学校が原因、です。多くの場合、子ども本人の心理状態、メンタル、心に問題があると考えられて対応されています。心理カウンセラーなどに相談される場合が多いです。それでも解決しない登校拒否のお子様が多いため、他の2つの原因についても可能性を探られてもイイと思います。それでは、登校拒否の原因について1つずつ話していきます。

①子供が原因~病気・やる気・朝起きない・ゲーム依存

学校へ行かないのが、子供自身にある場合、様々な原因が考えられます。一番は「怠けている」ということかもしれません。あるいは、学校生活に疲れてしまった、部活動で疲れたなど「心のストレス」が原因だとも言えます。登校拒否の子の多くが、ストレス・心因性による頭痛や腹痛など体調不良を訴えるケースもあります。「心身症」とも言われます。中には、布団から起きられない、声が出ない、歩くこともできない状態になる子もいます。

このような体調不良の症状が出ると、保護者は「病気かも?」と考えて病院へ診察に行きます。内科からスタートして、いろいろな科を渡り歩いて、最後は大学病院で精密検査までした方もいます。最後は、精神科・心療内科に行き着きます。心因性、ストレス性の原因だと診断されます。

他には、「朝起きない」ということで心療内科の診察を受けるケースです。診断として一番多いのが「起立性調節障害」です。心療内科で診察を受けると、早く寝られるような「睡眠導入剤」を処方されます。睡眠薬と同じだと考えて下さい。夜更かしして早く寝ていないから、朝起きられない。そういう理由で睡眠導入剤で早目の就寝を促すようにします。しかし、多くの家庭ではこの効果はあまりないようです。登校拒否の直接の原因が「朝起きられないから」というものではないようです。むしろ、他の原因がある為に朝起きられなくなっているようです。

「軽度発達障害」「アスペルガー症候群」だと診断される子供もいます。このケースの場合、周りとの人間関係が上手く築く事が出来ず、いじめの対象になることもあります。そこで特別学級と言われるクラスや学校があるので教育委員会と相談することも視野に入れておいてください。

「やる気」「怠け」が原因というのは、専門家の先生たちによると考えにくいそうです。家庭内ではワガママで好き放題ゲームやパソコンをしている登校拒否の子もいます。一見すると怠けているように感じてしまいますが、児童心理学の観点からも説明がつかないそうです。1日や2日程度、風邪をひいたと嘘をついて学校を休む子はいますが、長期間学校を休むリスクを考えると登校拒否になる原因としては考えにくいです。

次に「ゲーム依存」「スマホ依存」「パソコン依存」についてです。

登校拒否の子の多くがゲームやスマホ、パソコンの動画などに熱中して、依存状態のような子供もいます。夜遅くまでゲームをしている事で、寝る時間が遅くなり、翌朝に起きられない。その繰り返しで登校拒否になってしまうこともあるかもしれません。これらの依存は登校拒否になる前ではなく、登校拒否になって家にいる時間が長くなってしまった事で起きる事がほとんどです。

登校拒否の原因として、専門家の中で考えられているのが「思春期」の子供の変化だと言われています。思春期は、子供が大人へと成長する為に必要な時期でもあり、変化をしている最中の中途半端な期間でもあります。中途半端な状態が心理的にも、人間関係としても不安定さを引き起こしている可能性があります。

子供が原因の登校拒否については、登校拒否家族で一番読まれている登校拒否小冊子で学んでみると良いですよ。専門家の先生や学校の先生方も登校拒否対応で参考にされている書籍で、登校拒否の原因について詳しく書かれています。

 

②家庭が原因~夫婦喧嘩・離婚・シングル(片親)

「家庭環境」が原因で登校拒否になる場合はあるのでしょうか?家庭内で夫婦がよく喧嘩をすると子供の精神状態に影響を与える科学実験はたくさんあります。しかし、その場合は登校拒否になるよりも家から出ていくことが普通です。家出や不良グループへと発展するかもしれません。

「離婚」がきっかけで登校拒否になる子供もいます。親同士が離れるのを引き留めるために、子供は自分が問題を起こして、親の視線を集めようとします。その1つが登校拒否になることだと言われています。統計的には両親の離婚によって登校拒否になる子の割合は極めて低いです。

次に、「シングル(片親)家庭」についです。シングルマザーなど仕事が夜遅くまであり、夕ご飯も子供一人で過ごさなくてはいけなく、愛情不足で登校拒否になると考えられています。きっかけとしては考えられるかもしれませんが、このケースでも登校拒否になる割合は低いです。直接的な原因とは考えられないようです。

 

③学校が原因~いじめ・からかい・友達関係・クラブ・先生

登校拒否になる子の中で「いじめ」や「からかい」など「友達関係」のトラブルが関係している子もいます。特に、「いじめ」「からかい」の場合は保護者や学校の先生に相談する子はほとんどいません。「何か友達とあったの?」と聞いても、本音で答える子はごく少数です。親に惨めで情けない自分を見せたくないという児童心理があります。イジメの専門家によると、からかわれる子の中には元々、友達が少ないことで孤立感を感じている子が多いそうです。そのため、無視されたり、馬鹿にされたりすることがきっかけで登校拒否になってしまいます。このケースでは学校復帰が出来ても友達がクラスに居ない状態は変わらない為、再登校拒否になる可能性が高いです。

他には、「クラブ活動」でのトラブルです。補欠になってしまったとか、クラブの先輩との関係で厳し過ぎるとか、クラブが朝早くから練習で休日も練習漬けだったとかです。他にはクラブ顧問が厳しくて叱られて、嫌になった子もいます。クラブを退部するケースもかなりあるのですが、退部して問題は解決せず、気持ちは落ち込んだまま。登校拒否は続いている子が多いのが実情のようです。

「クラス担任」との人間関係が登校拒否のきっかけになっている子もいます。クラス担任と言えども人間です。子供と合わない先生もいます。理不尽な対応であったり、理屈が通らない指導をする先生がいることも事実です。

 

登校拒否の「原因」と「きっかけ」

ここまで3つの原因と考えられるものを説明してきました。しかし、どれも原因としても考えられますが、「きっかけ」に過ぎないのではないかとも考えられます。「きっかけ」「原因」だと考えてしまったがために、間違った対応をしているケースも多いです。精神科医の権威ある先生方も「登校拒否は精神病ではありません。」と言われています。

登校拒否の原因については登校拒否に関する書籍を読まれる事をお勧めします。まずは手軽に読むことが出来る登校拒否小冊子からスタートしてみるといいですよ。コンパクトに登校拒否に関する知識がまとまっています。

今後も当サイトの記事でも登校拒否の原因についてはお伝えしていくので、楽しみにして下さい。