「不登校の子は何を考えているの?」「どんな心理状態ですか?」という質問が届いています。不登校の子の心理状態を詳しく研究している先生方の協力で不登校の子供の心理状態について解説します。保護者のみなさんの多くは、子供が何も話してくれない事に不安を抱いています。何を考え、何を思い、不登校である苦悩と闘っているのでしょうか?

不登校の頭の中

ある不登校の教育機関が数千人の不登校の子供たちに調査を行った所、共通した不安や思いを不登校の子供たちが持っている事が分かりました。

「暗く長いトンネルの中にいるみたいだった。」

中学の不登校時代を振り返った高校生たちが同じように話していたそうです。不登校の状態は先が見えず、期待も希望も持てないです。その心理状態を理解してあげることで子供に寄り添う事ができます。不登校の心理状態には2つの時期があります。

不登校初期の心理状態

学校へ行けなくなった時の心理状態で最も多いのは、「学校へ行きたい。行かないといけないのは、わかっている。でも、なぜだか学校へ行きたくない。体が動かない。」というものです。

ある子は「学校の先生が嫌。」「勉強が嫌い。」「クラブに行きたくない。」「友達にからかわれた。」「お腹が痛い。」「起きられない。」と、いろいろな理由を言います。しかし、不登校の専門家によれば、これらの理由は、子供自身が無理に見つけ出している理由だと言います。学校が嫌な理由かもしれないですが、学校に行けなくなるような強い理由ではないからです。

不登校の子は自分が学校へ行けなくなった理由を知らないと言えます。「なぜだか学校へ行けない。」という心理状態が不登校の初期にはベースとしてあります。保護者から「学校へ行きなさい!」と言われても、子供は困っているのが実際だと言います。

「学校へ行かないといけないのはわかっているけど、行けないのだから、学校へ行って欲しいという親の思いを考えると、辛い。だから、親から逃げたい。」

という気持ちがあるそうです。これがまさに不登校の子供たちの持つ葛藤です。学校へ行きたい、けど、行けない、親からの求め、先生の誘い、友達の存在、勉強の遅れ、と複雑に絡んだ状態です。この段階で、子供に学校へ行く事を求め過ぎても解決にならないので、そうではなく、子供の気持ちを理解してあげることが大切です。

不登校が長期化している時の心理状態

不登校の初期を過ぎて、長期化して、不登校が当たり前になると心理状態も少しずつ変化していきます。長期化すると、子供の心の中で「学校へはもう戻ることはできない。」と考え始めるようです。諦めの気持ちが心の大部分を占めてしまい、動けなくなります。保護者が何かを提案したり、動かそうとしたりしても「どうせ、学校へはいけないのだから、何をやっても無駄だ。自分は駄目な人間。価値の無い人間。」だと考えてしまっています。その状態を不登校の子供たちは抜け出せない、真っ暗なトンネルの中にいると言っているようです。

何がしたいのでも、希望があるわけでもなく、諦めの気持ちで心が覆い尽くされている。そのため、長期化した子の場合は、学校へ戻す事よりも諦めの気持ちを転換させる事が大切だと言います。不登校の心理状態から考えて対応する事が私たちに求められていることだと思います。間違った心理状態の認識が子供を不登校から救いだせない理由だとわかりました。